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戸建車が入らない古家付きの土地を買い取ってほしい!(神奈川県鎌倉市)

ご相談者:大手不動産会社 様
神奈川県鎌倉市

 先日、お客様より「鎌倉市にある古家付きの土地を相続したから売却したい」というご相談をいただきました。
 私の方でその現地を見たところ、目の前の道路が狭く、車も入れないうえにそこには古家と多くの庭木がありました。
 目の前の道路は私道となっており、その私道を持っている方がどこにいるのかもわかりません。
それに加え建築基準法上の道路に接道していないため、原則として建物の建替えなどができない土地で、他の不動産会社に買い取ってほしいと相談しましたが、物件の特性上、全ての不動産会社から「うちでは買えない」と断られてしまいました。
 インターネットを見たところ、御社(リライト)では建替えができない物件でも買取りを行っていると記載されていました。
今回の物件も買い取っていただけないでしょうか?

状況

車が入らない古家付きの土地を買い取ってほしい!(神奈川県鎌倉市) 状況
【所在】神奈川県鎌倉市台
・駅から徒歩圏の高台に立地
・土地面積452㎡
・建築基準法上の道路に接道していないため、
 原則、建物の建替え等ができない
・境界標が不明
・一部傾斜地有り
・老朽化した建物(古民家)有り
・前面道路は私道で私道所有者が不明
 ※道路幅が狭く、車の侵入不可
・庭先には数多くの庭木有り

解決策

1. 担当者からの買取依頼

 大手不動産会社の担当者より「当社で新規に売却の依頼を受付けた鎌倉市にある古家付土地を買い取ってほしい」旨のご相談をいただきました。
 詳しく内容をお聞きしたところ、すでに複数の不動産会社に買い取ってもらえないかとご相談されており、全ての不動産会社から「買えない」と言われてしまった不動産でした。
 そのため、「なぜ、他の不動産会社が買えない」と言ったのかその理由を確認しました。
すると次のことが理由とわかりました。
・建築基準法上の道路に接道していないため、原則として建物の建替え等ができない
・目の前の私道が狭く、車が入らない
・目の前の私道所有者が不明のため、私道承諾書の取得ができない

 他の不動産会社の意見も参考にしつつ、物件資料一式をいただき、当社で買取再販事業ができないか検討にはいりました。

2. 現地調査で見えたこと

 物件資料をいただき、買取希望の土地の現地に行きました。
 そこは、確かに道路が狭く、庭木は荒れて伸び放題で敷地内に一部崖地が含まれていました。
それでも現地周辺の雰囲気は「ザ・鎌倉」というどこか高級感が漂う静かで落ち着いた環境でした。
 担当者からは「老朽化した古家がある」とお聞きしていましたが、私には「趣のある古民家」に見えました。

3. 役所調査と事業計画の立案

 現地調査後、その足で鎌倉市役所にて役所調査を実施。
 当初よりヒアリングしていた通り、前面道路は建築基準法上の道路として扱いはされていないものの、工夫次第で建物の建替えの許可はとれそうでした。
ただ、鎌倉市ではまちづくり条例など開発行為を行う際の個別に設けられた厳しい規制が数多くありました。
そのため、建物を解体し、土地を分割して売却する開発行為はかなりハードルの高いことで他の不動産会社もそういった点で買えなかったことも理解できました。
 併せて建物の解体工事や造成工事、各種インフラの接続工事などの見積もりを取得し、事業計画を何度も練り直し、当社で購入すべく具体的に検討を進め、最終的に購入することを決めました。

4. 難あり物件の買取りの契約と測量作業の開始

 他の不動産会社でも買えなかった難あり物件でしたが、当社では以下の条件で購入することにしました。
・売主様による境界明示は省略(境界非明示売買)
・瑕疵担保責任免責
 ※当社購入後の不具合は全て当社にて対応
・私道承諾書の未取得(私道所有者の所在が不明のため)
 ※前面道路が私道の場合は、その所有者からの通行承諾書の取得が
  できなければ大部分の金融機関において住宅ローンが利用できません

 上記の通り、全て現況有姿での売買。
これについては、売主様としても仲介に入られた大手不動産会社ともに煩わしくなく、良かったのだと思います。

 そして、後日、大手不動産会社の営業所にて売買契約の締結。
 契約締結後は、お引渡しに向けての打ち合わせと当社が主体となり、土地家屋調査士に依頼して測量の作業に取り掛かりました。
土地家屋調査士の先生は、日頃から大変お世話になっている腕利きの方ですぐに作業に着手していただけました。
まず、土地家屋調査士の先生が行ったのは、目の前の私道所有者の方についての近隣住民へのヒアリングでした。
するとその動きが功を奏し、私道所有者の方に辿り着くことに成功。
 私道は登記名義人の方が何十年も前にお亡くなりになっており、その息子さんが所有者(相続人)となっていました。
後日、土地家屋調査士の先生に同席いただき、その私道所有者の方のご自宅を訪問。
当初、私道部分の通行と掘削のお願いをしていましたが、このままでは当社以外の近隣住民の方が私道の承諾書を取得しようとしても私道所有者の方に辿り着けない旨、お伝えしたところ、私道所有者の方からは「近隣住民の方に迷惑をかけてしまうのでは困る。それであれば私道をリライトさんの方で引き取ってください」旨のお話をいただきました。
そのため、後日出直し、私道部分を当社が私道所有者の方より買い受けるというかたちの売買契約を締結しました。(当社が私道所有者となったため、通行承諾書の取得は不要になりました)
その間も土地の境界確定作業は粛々と進んでいきました。

5. 買取の残代金と分割販売にするか、古民家再生にするか

 測量作業をしている間、売主様に対して残代金をお支払いし、所有権を取得しました。
それから売却に向けて検討を進めたのですが、その時に悩んだこと、それは「建物を解体して2分割し、車が入らない土地として分譲」するか「古民家を再生し、戸建として販売」していくかでした。
ちょうどその頃、現場にはいっている土地家屋調査士の先生から「ご近所の方で今回の物件に興味を持っている方がいる」旨のお話をいただき、それと同時に当社に今回の物件をご紹介いただいた大手不動産会社の方より「取引先の従業員の方が(建物をリノベーションし)自宅として買いたいと言っている」旨の2件のお話が舞い込んできました。

6. 売却先の決定と売買契約の締結

 ご近所の方、大手不動産会社の方の紹介の方ともに古民家を活かすことで価値を見出していただけました。
 タッチの差ではあったものの、最初にご近所の方からの購入の意思表示をいただけたため、現地でお会いし、複数回メールやお電話で打ち合わせを実施。
 そのやりとりの中でご近所の方が今回の古民家を大変気に入っていただけていることがよくわかりました。
そのため、もう1件のお話と悩んだものの、最終的にご近所の方にお譲りさせていただくことに決定しました。
 そして、契約書の案文を作成し、買主様にもご確認いただいた上で売買契約の締結。
売買契約の内容には、土地と建物はもちろん、当社が後付けで購入した私道部分も売買対象としました。
契約締結後は、買主様が融資審査のお申込み、間もなくその融資申込内容が承認されました。

7. リフォームの打ち合わせをお引渡し

 買主様は建築関係に非常に長けているお客様で建物をいかに自分たち家族向けにリノベーションしていくかを考え、設計されていました。
 買主様より「どこか良いリフォーム会社を知りませんか?」とお問い合わせいただいたため、当社がいつもリフォーム工事をお願いしている神奈川県藤沢市にある相馬工務店さんをご紹介させていただきました。(リノベーション工事については、買主様と相馬工務店さんと直接やり取りをしていただきました)
 後日、買主様が住宅ローンをご利用される金融機関に集合し、残代金を授受、鍵と所有権のお引渡しをしました。
その時に買主様からいただいた言葉、それは「今回の建物の築年数が経過しているからこそある趣に惚れました。そのため、土地だけでは買っていませんでした。これから家族で大切に使わせていただきます。」というものでした。

8. 自分たち好みにリノベーション

 お引渡し後も買主様と相馬工務店さんとの打ち合わせは続きました。
そして数ヶ月後、買主様より「自宅のリノベーション工事が完了しました」とご連絡をいただけました。
後日、工務店さんとご一緒に買主様宅(ご購入いただいた物件)に行ってみると衝撃を受けました。
 何に衝撃を受けたかというと床材や窓ガラス、外壁の板などもともとあった素材をそのまま活かし、こんなにも素晴らしい空間ができるのか、ということに衝撃を受けたのです。
 それは、まさに買主様にとって「自分たち家族好みのリノベーション」でした。
今回、当初よりいろんな課題をクリアしてきた案件でしたが、最終的にとっても素敵な買主様と巡り合うことができたこと、そして建物もスクラップ&ビルドではなく、これからも大切に使われていくことを考えるとこれ以上嬉しいことはありません。

担当者からの一言

 今回の案件のポイントは、「建物の捉え方」でした。

 いつも通り、当社が取り扱うのはいろいろと課題のある物件が多く、今回も例外ではありませんでした。
 その中で最も印象的だったのは、大手不動産会社の方が「古家」と言った建物を買主様と私は「古民家」とプラスに捉えたことがでした。
 もし、築年数が経過しているからと言ってすぐに建物を取り壊していたら、きっと今回の買主様そしてもう1組のお客様とお会いすることは出来なかったと思います。

 建物は「新しい方がいい」ということもわかりますが、「古いからこそある趣がいい」という方も一定数いるのは事実です。
 そのため、築年数が経過している戸建を売却するときには、当たり前に古いから古家付土地で売却するのではなく、本当にその建物に価値がないのかをよく検証してから「古家付土地」または「古民家」として売却するのかを判断する必要があります。 

 不動産の売却は、表現の仕方1つで売却金額が高くも安くもなってしまいます。
それだけ不動産は奥が深いのです。

関係者のみなさま、本当にありがとうございました!