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土地相続で取得した場所もわからない静岡県掛川市にある山林を処分したい!(静岡県掛川市)

ご相談者:横浜市内の不動産会社 様
神奈川県横浜市瀬谷区

 父が他界し、父が経営していた不動産会社を相続しました。
 私はその不動産会社を経営していくつもりもなく、廃業しようと考えています。
 そのためには会社が所有している不動産を処分しなければならないのですが、父が生前購入した不動産は競売物件が多く、そのほとんどが難あり物件でした。
 その中で静岡県掛川市にある山林2か所の処分を考えています。
私も場所がわかりません。
 それでも御社にてご売却のお手伝いをいただけないでしょうか。

状況

相続で取得した場所もわからない静岡県掛川市にある山林を処分したい!(静岡県掛川市) 状況
【所在】静岡県掛川市大野・上西郷
・駅からバス便エリア
・建築基準法上の道路に接道していないため、建物の建築不可
・全体的に傾斜地
・周辺に上下水道の配管がない
・一部土砂災害警戒区域に指定されている
・第三者の土地を通過しなければ、物件に辿り着けない
・長年放置されていたため、雑木林となっている
・境界標が不明
・周辺では不動産の流通がない

解決策

1. お客様との打ち合わせ

 お客様より「静岡県掛川市で所有している山林があります。私も場所はわかりません。ただ、何とか処分したい。」旨のご相談をいただきました。
 後日、お客様とお会いして資料をいただきました。
 ただ、お客様の手元にある資料は謄本だけで、他に場所等を表す資料は一切ありませんでした。
 物件が「山林」ということでどんな物件か一抹の不安はあったもののその山林の処分をお手伝いさせていただくことにしました。

2. 行政機関での場所の特定と物件調査

 山林の処分のためにまず行うこと、それは物件の調査でした。
 ただ、今回の物件は場所もわからないという特殊な事情。
そこで最初にインターネットで謄本、公図等を取得、それと大まかな地図を準備して市役所の窓口にて打ち合わせ。
 窓口担当者より確認したこと、それは調査物件の対象が地図上どこなのか、ということ。
 そして、無事に場所を特定することができ、そのまま建築基準法、都市計画法、その他法令上の制限に関する内容の調査を実施。
 ここでは物件が建築基準法上の道路に接道していないため、建物の新築ができないということ、周辺に上下水道管がないこと、第三者所有地を通過しないと物件に辿り着けないこと、一部が土砂災害警戒区域に指定されていることが判明しました。

3. 現地の物件調査

 市役所で物件の場所の特定、調査一式を行った後に現地調査を実施。
現地は2か所とも車で目の前に行くことができない土地でした。
 1か所は山の上の茶畑に隣接している土地、もう1か所は川沿いの傾斜地でどちらも山林というだけあって雑木林となっていました。
 さらに2つの物件ともに大部分が傾斜地でした。
 当然、足を踏み入れるには危険な状態だったため、遠目より確認する程度にしておきました。
現地をみて思ったこと、それは「やはり今回も手強い難あり物件だった」と・・・。

4. 独自のルートによる販売

 お引受けさせていただいたのはいいのですが、かなりの難あり物件ということにちょっと戸惑いつつ、それでもお客様の問題解決のためにこの難あり物件を何とかしなければなりませんでした。
 周辺地域で過去に不動産の取引きがされていたか調べてみましたが、全く不動産が流通している様子は見られませんでした。
 おかげ様でと言いますか、当社には難あり物件を求めにお問い合わせいただくお客様も複数いるため、早速、当社独自のルートに情報を発信してみました。
 すると・・・その中のお客様より「すぐに購入したい」旨のお話をいただくことができたのです。

5. 売買契約の締結と事前通知制度

 買主様が見つかったところで売買契約の準備に入りました。
 ところが、売主様より「登記済権利証を紛失してしまった。どうしたらよいか?」というご連絡をいただきました。
 通常、売買の際には買主様に所有権移転登記をするために売主様より買主様に登記済権利証または登記識別情報通知をお渡しします。
 今回は、それを紛失されていた・・・。
 司法書士の先生に依頼し、本人確認する方法もありましたが、それには数万円の費用がかかってしまいます。
 そこで売主様、買主様にて協議をし、最終的には権利証がなくても所有権移転登記をする方法、「事前通知制度」を利用することで合意。
 後日、売主様、買主様にて売買契約を締結し、郵送にて「事前通知制度」による所有権移転登記を申請しました。
 この事前通知制度は、登記申請を法務局が受領したときに、法務局より売主様の印鑑証明書に記載の住所地に本人限定郵便にて資料を送付し、売主様がそれを受領後、同封された書類に実印にて押印し、法務局に返信するというもの。
 売買代金が多額になる場合は、リスクも考慮し、司法書士の先生にお願いしますが、今回は物件も物件、金額も金額だったため、事前通知制度による登記申請となりました。
 その後、売主様より「法務局より書類が届き、書類に実印で押印し、返信しました」旨、さらにその後、買主様より「登記が無事に完了した」旨のご連絡をいただき、ひと通りの手続きを終えることができました。

担当者からの一言

 今回の案件のポイントは、「不動産に対する考えた」でした。

 最初に2つの物件を見た時、建物も建てられず、車の乗入れもできない、ただの傾斜地の物件で「もしかしたら、売却が難しいのでは?」と思ったほどです。
 それでも当社のお客様にて買主様をお探しすることができました。
 今回の物件については、おそらく当社以外では売却が難しかったのではないでしょうか?
 ご契約前に購入目的が気になったため、買主様にお聞きしてみました。
するとその答えは、「山林で固定資産税もかからないのであれば、とにかく持っています。ないとは思いますが、もし、何十年後か近くで大規模開発の計画ができたときには、その時売却を検討します。」と。
 そうなんですね、不動産に関する考え方は人それぞれですね、と思いました。
 ただ、今回の買主様のように不動産にはその人、その人の考え方があります。
 そのため、情報発信をし続ければ、どんな物件だってきっと売却することができます。
 今回の建物の建築ができず、車も入らない、大部分が傾斜地の山林を売却することができたように。

 そして、今回も相場がないところに相場をつくることに成功しました! 

関係者のみなさま、本当にありがとうございました。