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土地建替えができない廃墟化した不動産をお金を払ってでも手放したい!(静岡県牧之原市)

ご相談者:横浜市内の不動産会社 様
神奈川県横浜市瀬谷区

 不動産業を営んでいた父が他界し、不動産会社を相続しました。
 私は父からの不動産業を経営していくつもりもなく、会社を廃業したいと思っています。
 そのためには、父が生前、購入した会社所有の不動産を売却しなければなりません。
 父は、競売物件を多数購入していたため、その所有している大部分の不動産が何かしら問題を抱えている物件でした。
 そのうちの1つ、静岡県牧之原市にある未接道で建替えができない物件の売却を引き受けていただけないでしょうか?
 以前、地元不動産会社に売却依頼をしましたが、最終的に売却することができず、地元不動産の方からも断られてしまいました。
 物件の状態が厳しいのはわかっています。
それでもお金を支払ってでも何とか手放したい。
御社にてお手伝いいただけないでしょうか。

状況

建替えができない廃墟化した不動産をお金を払ってでも手放したい!(静岡県牧之原市) 状況
【所在】静岡県牧之原市坂部
・駅からはバス便エリアに立地
・周辺には農地ばかりの田園地帯
・建物がほぼ倒壊し、近隣より収去してほしい旨の要望有り
・物件に入るまで第三者所有地を通行しなければ
 出入りができない
 ※未接道のため、再建築不可物件でした
・水道管が第三者所有地を通過
・境界標が一部不明

解決策

1. お客様との打ち合わせ

 お客様よりお問い合わせをいただいた後、お会いして面談を実施させていただきました。
 お客様の最終目的は、相続で取得した不動産会社の廃業でそのためのご意向は、お父様が生前に購入された建替えができない廃墟と化した不動産の処分でした。
 そして、その時にお客様が以前、地元不動産会社に相談物件の売却を依頼し、売れなかったこと、近所の方より物件の屋根の一部やゴミが飛んでくるから早く更地にてほしい旨のクレームがきていることをお聞きしました。
 この時、資料を拝見しながら物件の条件的な悪さを痛感しましたが、私がお断りすることでお客様が困ってしまう、それであれば、と思い、この難あり物件の売却を私のほうでお引き受けさせていただいたのです。

2. 現地確認の実施と近隣挨拶

 お客様との面談の後に現地確認をしました。
 現地はお客様からお聞きした通り、今にも風で飛んで行ってしまいそうな廃墟化した建物がありました。
 その建物は屋根が一部はがれ落ちており、室内には大量のゴミが放置されていました。
 また、お隣との境界標は一部不明でした。
 現地確認の際、近隣の住民の方及び隣接地土地所有者の方を訪問し、ご挨拶をしました。
 近隣の方からは「ゴミが飛んでくる。廃墟で事件でも起きないか心配なので早く何とかしてほしい。」というお話をいただきました。

3. 行政での物件調査と近隣相場のリサーチ

 現地確認の後、すぐに市役所等で物件調査を実施。
 このとき、売却物件が建築基準法上の道路の接道していないため、建物の建替えができないことが判明しました。
 また、水道管が第三者所有地を通過していることも発覚しました。
 その後、地元不動産会社を数件訪問し、実際の近隣相場をお聞きしました。
 地元不動産会社の方からは「売却物件のあるエリアは不便だから、需要がない。売れない物件ですね。」と・・・。
 そして、横浜の会社に戻り、不動産会社専用検索サイトでも過去の成約事例や競合物件を調べました。
 ・・・が、過去に周辺で不動産が流通したという形跡はありませんでした。

4. 再度近隣へのアプローチ

 現地調査時に近隣へのご挨拶を行いましたが、物件の特性や周辺地域において不動産の流通がないことからもターゲットを近隣に絞り込みました。
 そして、再度、近隣へのアプローチを開始したのです。
 当初はみなさん「あの不動産をもらってしまうと手放すことが大変。子供にも残せない不動産だからいらない。」と言われてしまいました。
 ただ、私はそれだけでは諦めずに再三、再四、近隣の方にアプローチを実施。
 すると、物件を囲む近隣の方同士のご近所関係が少しずつわかり、最終的には3組の方より「その不動産を引き取ってもいい」という旨のお話をいただくことができました。

5. 需要がある上での売却交渉

 当初は「お金を払ってでも手放したい」と言われていた売却物件、近隣の方3組より「引き取ってもいい」と言われてから、今度は価格の交渉に移りました。
 誰もいらないという不動産はタダでも手放せない可能性がありますが、3組とも諸事情により「欲しい」となったため、そこに3組内での競合関係を生じさせることができました。
 そのため、私のほうでそれぞれのお客様と協議を重ね、最終的に売主様と一緒に買主様を決定しました。
 このときの交渉方法にはちょっとしたコツがありました。
 買主様はもともと道路側の土地をご所有されていた方でした。
 買主様の条件は、古家の解体後の引渡しというものだけであり、建物の建替えができないこと、水道管が第三者所有地を通過していることはご承諾済みでした。

6. 売買契約の締結と廃墟化した建物の解体

 諸条件の協議がまとまり、後日、売主様とご一緒に買主様のご自宅にて契約を締結していただきました。
 そして、ご契約締結後、廃墟化した建物の解体の見積もりを複数社より取得し、解体工事に着手しました。

7. 滅失登記とお引渡し・境界の明示

 建物解体後、売主様にて滅失登記の申請。(滅失登記は建物登記を抹消すること)
 お引渡しの条件が整ったところでお引渡し日の日程を調整しました。
 後日、現地で売主様同席のもと、買主様に境界の明示を行い、そのまま買主様のご自宅にて残代金の授受、お引渡しを終えることができました。

担当者からの一言

 今回の案件のポイントは、「ターゲットの絞り込み」でした。
 前述の通り、今回の物件はもともと他社さんで「売れなかった」物件でしたが、その時点で諦めるのではなく、ターゲットの絞り込みを行い、買主様「待つのではなく、探しにいった」ことが功を奏しました。
 当初は売主様も「お金を払ってでも手放したい」と仰られていた物件でしたが、ターゲットを絞り込み、需要を顕在化した結果、購入意思を3件いただき、そのことにより売却代金を上乗せでき、最終的に「有償」で売却することに成功しました!
 この流れだけをみると簡単そうに思えますが、意外と交渉事が多く、かなり神経を使いました。
 入口がない、建て替えもできない、難あり物件を更地にして無事に売却できたことで、買主様、売主様、近隣の方、みなさんにとって現状の空家問題をいい意味で解決することができた案件となりました。
 それに売主様自らが近隣の方にお話をするのではなく、私が間に入ることによって、お互いに程よい距離感を保ちながら、条件の協議や手続きを行うことができたことも成功の要因でした。
 再建築不可物件だって関係ありません、相場がないところに相場をつくる、今回も無事に成功です!
 
関係者のみなさま、本当にありがとうございました。