リライト田中の活動ブログ

復興の光と、路地裏に残る空き家――気仙沼で考えた「不動産を次につなぐ」ということ

2026/07/17
テーマ:ブログ

 みなさん、こんばんは。
株式会社リライト 代表の田中です。

 今回は、気仙沼市を歩いて思ったことについて。
宮城県気仙沼市への出張2日目。

前日は午前2時30分に起床し、横浜から車で約6時間30分。午前9時30分に気仙沼市役所へ到着してから、市役所、上下水道、ガス、土木、危機管理、法務局などを一日かけて回りました。

不動産の調査というと、登記簿や都市計画だけを確認すれば終わると思われるかもしれません。

しかし、実際の現場はそんなに単純ではありません。

道路は使えるのか。
上下水道はどこまで整備されているのか。
災害のリスクはどうか。
建物に問題はないか。
近隣との関係はどうなっているのか。

そして何より、その不動産を今後誰が、どのような目的で使うのか。

書類の向こう側にいる人のことまで考えなければ、本当の意味での不動産調査にはならないと私は思っています。
 

小雨の気仙沼を、コーヒーからスタート

この日の午前中は小雨。

朝食は、気仙沼で生まれたコーヒーショップ「アンカーコーヒー」へ。

アンカーコーヒー 気仙沼

香ばしく焼き上げられたクロワッサンと、ひきたての温かいコーヒーをいただきました。

前日は一日中、役所と現地を行ったり来たりしていたため、コーヒーの香りに包まれながら過ごす時間が、いつも以上にありがたく感じられました。

アンカーコーヒーは、港町・気仙沼らしい空気を感じられるお店です。全国展開している画一的なカフェとは違い、「この街で飲むからこそおいしい」と思える一杯でした。
 

神明崎で出会った「タイではなくカツオ」の恵比寿様

朝食後は、歩いて神明崎へ。

神明崎周辺には五十鈴神社や猪狩神社があり、海とともに生きてきた気仙沼の歴史や信仰を感じられます。

境内で目を引いたのが、釣りざおを掲げ、大きな魚を抱えた「立ち恵比寿像」です。

恵比寿様が抱えている魚といえば、一般的にはタイ。

立ち恵比寿

ところが、気仙沼の恵比寿様が抱えているのは、どう見てもカツオです。

「タイじゃないんだ」

思わず一人でクスッと笑ってしまいました。

ただ、これは単なるユーモアではありません。

カツオをはじめとする水産業とともに発展してきた気仙沼だからこその恵比寿様なのでしょう。街の歴史や産業は、神社や像の姿にも自然と表れるのだと感じました。
 

気仙沼市復興祈念公園で感じた「二つの時間」

その後、気仙沼市復興祈念公園を訪れました。

高台に整備された公園からは、復興が進む気仙沼の街を見渡すことができます。

新しく整備された道路。
新しい建物。
新しい街並み。

しかし、そこへ向かう途中、車が入れないような細い道を歩いていると、長い間使われていないと思われる空き家や、倒壊が心配になるほど老朽化した建物も目に入りました。

表通りでは、新しい街づくりが進んでいる。

その一方で、少し路地に入ると、時間が止まってしまったような場所が残っている。

同じ街の中に、復興へ進む時間と、取り残されたままの時間が同時に存在しているように感じました。

これは気仙沼だけの問題ではありません。

横浜をはじめ、全国各地で空き家や相続放置不動産が増えています。人口減少が続く地域では、建物を直しても使う人が見つからず、売却しようとしても買主が見つからないケースも少なくありません。

気仙沼市復興祈念公園は、犠牲になられた方々を悼み、震災の記憶を未来へ伝える場所です。

同時に私は、不動産に関わる者として、「残された建物や土地を、これから誰がどのように受け継いでいくのか」を考えずにはいられませんでした。

午前中だけで、歩数計はすでに6,000歩を超えていました。
 

午後からは、今回の出張の本番へ

午後からは、今回の出張目的である気仙沼市内の物件で現地打ち合わせを行いました。

昼食は「気仙沼あさひ鮨」で、関係者の方々とランチミーティング。

気仙沼ならではの新鮮なお寿司に加え、フカヒレ寿司もいただきました。フカヒレというと中華料理のイメージが強いのですが、お寿司として味わえるのも水産都市・気仙沼ならではです。

おいしいものを囲みながら話をすると、会議室では出てこない本音が聞けることがあります。

不動産の仕事は、法律や数字だけでは進みません。

所有者の想い。
関係者の事情。
地域の方々の受け止め方。
将来利用する人の希望。

そうしたものが複雑に絡み合っています。

ランチミーティングの後は、現地関係者との協議、市役所への訪問、そして再び物件へ戻って、お客様の内見に立ち会いました。

今回の物件には、さまざまな事情があります。

解決しなければならない課題も一つではありません。現時点では、今後どのような形に落ち着くのか、まだはっきりとは見えていません。

それでも、現地を見て、人に会い、行政に確認し、一つずつ事実を積み重ねていく。

売れない不動産や難しい不動産を解決するために、近道はありません。
 

「お魚いちば」で感じる、気仙沼の海の豊かさ

移動の途中には「気仙沼お魚いちば」にも立ち寄りました。

新鮮な魚介類や水産加工品、地域のお土産が並び、気仙沼の海の豊かさを身近に感じられる場所です。

中でも気になったのが「サメジャーキー」。

気仙沼らしい商品ですが、初めて見た人は少し驚くかもしれません。

地域にあるものを捨てず、新しい商品や価値へ変えていく。

これは、私たちが取り組んでいる空き家や売れない土地の再生にも、どこか通じるものがあります。

誰かにとって不要に見えるものでも、使い方や届ける相手を変えれば、価値が生まれることがあるのです。
 

一日の締めくくりは「ぴんぽん」で海鮮料理と地酒

夕食は、気仙沼市内の居酒屋「ぴんぽん」へ。

新鮮な刺身やホヤの刺身など、気仙沼ならではの海鮮料理をいただきました。

合わせたお酒は、気仙沼の地酒「水鳥記」。

気仙沼日本酒 水鳥記入

現地の料理には、やはり現地のお酒が合います。

前日の夕食では、カツオやマンボウの刺身、モウカの星など、普段なかなか口にすることのない気仙沼の味を堪能しました。

そしてこの日もまた、海の恵みと地域の方々の仕事に感謝しながら、一日を締めくくることができました。
 

不動産を調べることは、街を知ること

今回の気仙沼出張で改めて感じたのは、不動産だけを見ても、その不動産の本当の価値はわからないということです。

街を歩く。
神社を訪ねる。
地域のものを食べる。
役所で話を聞く。
近隣や関係者と向き合う。

そうすることで初めて、その不動産が置かれている背景が見えてきます。

空き家や使われていない事務所も、ただ安く売ればよいわけではありません。

短期間だけ使われて、再び放置されてしまっては、地域にとって本当の解決にはならないからです。

大切なのは、その街に必要とされ、できるだけ長く使い続けてもらえる形を考えること。

簡単ではありません。

それでも、誰かが考え、動かなければ、建物は古くなり、地域の課題はさらに大きくなってしまいます。

だからこそ私たちは、目の前の不動産を単なる「売買の対象」としてではなく、次の人、次の世代へつなぐための地域資産として考えていきたいと思っています。

明日は気仙沼市内を少し見てから、車で横浜へ戻ります。

今回の案件がどのような未来へ進んでいくのか。

まだ答えは出ていませんが、課題が多いからこそ、私たちにできることがあるはずです。

株式会社リライトでは、空き家や実家処分、不動産相続、不動産トラブルに関するご相談だけでなく、再建築不可、底地、借地、借地権、市街化調整区域、山林、農地、1円不動産、1円物件、0円物件など、一般的な不動産会社では取り扱いが難しい不動産についても、横浜を拠点に全国で売却・買取のご相談を承っています。