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戸建使っていなくてもランニングコストがかかる別荘を手放したい!(テレビで話題の東伊豆町の1円別荘)

ご相談者:R.K様(インターネットからのお問い合わせ)
神奈川県厚木市

 数年前に静岡県賀茂郡東伊豆町の別荘を相続で取得しました。
その別荘は別荘地内にあり、使っていても、使っていなくても管理費や水道料金、温泉料金などランニングコストが毎月23,000円もかかっています。
 このランニングコストが生活を圧迫していること、そして子どもにこの不動産を残せないことからも何とか手放したいと思います。
 本当にタダでもいいから手放したい!
 地元不動産会社含め、30社くらいに売却の相談をしましたが、ほとんど取り合ってもくれませんでした。
 リライトさんでしたら、きっと何とかしてくれるという藁にも縋る思いで伺いました。
よろしくお願いします!

状況

使っていなくてもランニングコストがかかる別荘を手放したい!(テレビで話題の東伊豆町の1円別荘) 状況
【所在】静岡県賀茂郡東伊豆町
・駅からバス便のエリア
・長年空家となっており、建物が老朽化(築50年)
・室内には残置物がある
・土地の大部分が傾斜地となっており、土砂災害特別警戒区域内
・車庫がなく、車が止められない
・別荘地内のため、毎月ランニングコストがかかる
・建物が登記されていない
・相続登記が未了
・別荘からは木々の葉の隙間から海が遠望できる

解決策

1. お客様との打ち合わせ

 まずお客様よりお電話をいただき、現状のヒアリング。
ただ、この時、私自身案件が多く、お客様には、「現状、身動きがとれないため、2~3ヶ月お待ちいただければ必ずご対応させていただく」旨をお伝えしました。
※お客様は待ってでも当社にお願いしたいとのご意向でした
 そして、2ヶ月後、お客様に状況の確認と面談の予約のご連絡をしました。
 後日、お客様にご来店いただき、お客様のご意向、物件の状況等をヒアリングさせていただきました。
 この時のお客様のご意向は、「とにかくこの別荘を手放したい」というものでした。
 理由は、「使っていなくてもかかってしまう管理費や水道料金が生活を圧迫している。このままこの負の遺産を子どもに残してしまうと考えると怖くて夜も眠れない」ということからでした。
 お客様よりお預かりした資料を拝見すると建物の登記及び土地の相続登記がされていないことが判明。
 相続登記については、法務局のホームページをお知らせし、お客様ご自身にて相続登記を行っていただきました。(無事に相続登記が完了しました)

2. 町役場などでの物件調査でわかること

 お客様の面談後、すぐに調査を開始。
まずは、町役場・土木事務所などから始めました。
 すると物件が崖地にあり、土砂災害特別警戒区域に指定されていることが判明。
※土砂災害特別警戒区域に指定されると土地の形質変更の際には予め県知事の許可が必要となります
 町役場・土木事務所での調査を終え、向かった先は、別荘地の管理会社でした。
 ここで調査したことは、毎月のランキングコスト、名義変更に伴う費用、手続き方法や別荘地の細かい取決めをヒアリングさせていただきました。
 売主様が一部管理費を滞納してしまっていることが判明しました。
この売主様の管理費の滞納については、売買が決まった段階ですぐにお支払いする旨、管理会社からの了解を取り付けました。
この時、別荘地の管理会社の方に別荘地内の不動産の流通について、ご質問しましたが、担当の方からは「別荘地内の不動産は、全く動いていない」旨のお話をいただきました。

3. 現地調査で見えるもの

 法令上の制限の調査を終えると現場調査。
 現地は、道路から一段低くなっており、車庫もない土地でした。
気を付けないと下まで滑り落ちてしまいそうなくらいの傾斜地。
 土地の境界標も大部分がみつかりませんでした。

 建物の中に入ると室内には残置物があり、長年の空家となっていたため、建物は傷み、老朽化が進んでいました。
※室内のところどころに水ジミなどが見受けられました
 そのため、窓や雨戸の建付けの悪く開かないところもありました。
ただ、温泉がでる浴室は眺望もよく、とっても趣きがあり、温泉旅館を思わせるくらいのものでした。
 ひと通り、現地を確認してから、間取り図の確認、販売用の写真を撮影しました。

4. 実際に売却活動をしてわかる別荘の需要の少なさ

 役所調査、現地調査を終えて、横浜の会社に戻り、販売活動を行うために売主様と打ち合わせをしました。
 売主様は当初より「とにかく手放せればいい」というご意向でしたが、いきなりそこを目的にするのでなく、販売活動を開始する際には、少しでも売主様にとって好条件で高く売却できるようにと「200万円」から売却活動をスタートしました。
 ・・・が、販売活動を開始したはいいものの、お客様、他社さんからのお問い合わせ皆無でした。
 しかも、インターネットのアクセス数をリサーチしても、ほぼお客様には閲覧すらされていない状況でした・・・。
 そこで売主様と打ち合わせをしながら、150万円、100万円、50万円と少しずつ販売価格を変更していきましたが、それでも増えないお客様からのお問い合わせ・・・。
 その最も大きな要因は、「毎月のランニングコストがかかること」でした。
 ただ、これについては、どうしようもできないため、悩みに悩みました。
 その結果、売主様と一緒に導き出した答え、それが「1円」に売却価格を変更するということでした。
 売主様としては、50万円から30万円、10万円と徐々に変更しているより今までのお問い合わせ状況を考慮するとずばり1円の方がインパクトあるでしょう、と。
 もちろん、私もこれに賛同し、すぐに売却価格を「1円」に変更しました。

5. 売却活動(メディアの力の凄さを痛感)

 売却価格を1円に変更するとすぐにTwitterで記事を書いているというライターさんの方から「東伊豆町の1円別荘を記事にしてもいいでしょうか」とのお問い合わせをいただいたため、私からは売却に向けてぜひ、記事にしていただき、売主様のためにも多くのお客様に向けて情報を発信していきたい、とお話ししました。
 すると・・・ライターさんがすぐに記事にされ、情報を掲載。
段々電話が鳴りやまなくなったかと思うと「東伊豆町の1円別荘」がヤフーのニュースランキングのトップになっていました。
 さらに各テレビ局の取材も殺到し、中には韓国でも話題になっているということで韓国テレビの取材も。
 この時のアクセス数は、たった3日間だけで45,000件以上ものアクセス数を記録しました。

6. たくさんの問い合わせと現地内覧会

 テレビでの放送後、お客様から毎日30~40件のお問い合わせがあり、他の仕事も手につかないような状態とでした。 
 ただ、お問い合わせいただいたお客様1件1件を現地にお連れすることもできなく、対応を考えました。
 お問い合わせいただいたお客様の中には「建物内部を見なくても購入したい」というお客様もいたほどです。

 そこでお問い合わせいただいたお客様には「建物の内部をご見学いただいたお客様のみに購入できる権利があります。◯月◯日に現地内覧会を行いますのでそちらにご来場いただいたお客様の中で買主様を決定します」とお伝えしました。

7. 内覧会の準備と現地内覧会の開催・買主様の決定

 現地内覧会の前夜に売主様はご来場いただくお客様には少しでもいい状態の物件を見ていただきたいという思いから、夜中に厚木のご自宅を出発し、車で現地までお掃除をしに行かれました。
 そのため、現地内覧会では、10組前後のお客様にご来場いただき、きれいになったお部屋をご覧いただくことができました。
 そして、ご見学いただいた後1週間以内で複数の購入希望のお客様より「ぜひ、欲しい」と購入申込書をいただくことができました。
 
 なお、購入希望者の方には購入申込書に物件または売主様について一言記載いただけるスペースをご用意しておりました。
 その結果、購入希望者の方からは「ぜひ、大切に使っていきたい」、「きれいになったら、ぜひ、売主様にもいらしていただきたい」など嬉しいコメントが記載されていました。
 そして、最終的に売主様が購入希望者の中から買主様を決定されました。

8. 売買契約前の管理会社との打ち合わせと管理費の滞納の返済

 買主様が決まったところでまず買主様に別荘地の管理会社と直接打ち合わせをしていただきました。
 その趣旨は、ご購入いただいた後に別荘地の取決めをしらなかった等というお話がないようにするためでした。
 さらにこちらの別荘は、売買の際に物件価格以外に名義変更手数料や受湯権など諸費用が約113万円かかるのに加え、室内の残置物撤去費用とリフォーム費用が別途でかかってしまうという物件でした。
 一方、売主様には買主様が決まったため、滞納していた管理費を一括で管理会社に納付していただきました。

9. 売買契約の締結は縁結び

 管理会社との打ち合わせ、売買契約書の事前確認も終わり、いよいよ売買契約となりました。
 ご契約の際には売主様はご夫婦で、買主様はご家族でみんな笑顔の中で何の問題もなく、ご契約手続きが進んでいきました。
 そして、売買代金の授受の時には、買主様のお子様がご自身の財布から1円を手に取り、売主様に「ありがとうございます」といいながら、売買代金をお支払いされていました。
 売主様もそれに応えるかたちで「ありがとうね。大切に使ってくださいね。」とお話しされ、最後は全員で記念撮影をされました。
とっても素敵なお取引きとなりました。

担当者からの一言

 今回の案件のポイントは、「諦めないこと」でした。

 今回の物件は、もともと売主様が30社以上の不動産会社から「売れない」と言われたり、相手にされなかった不動産でした。
 私は、売主様にとっての31社目にはなりたくありませんでした。
だから、何が何でも売主様の「別荘を手放すこと」のお手伝いをしようと考えていました。
 
 そして、お問い合わせが少ない時にも諦めることなく地道に販売活動を継続していた結果、偶然にもテレビなどのマスコミに取り上げられることができ、それによりお客様からたくさんのお問い合わせをいただくことができました。

 正直、売主様よりご依頼いただいたときから、報酬はいただけないと認識しており、それでも「売主様のために何とかしたい」という気持ちだけで動いていました。
 最終的に「東伊豆町の1円別荘」は「1円」だったため、当社では報酬はいただけませんでした。(それでもいいんです)
 それ以上に、とっても感じの良い買主様に「大切に使わせていただきます」と言われたこと、売主様からも「これで安心して眠れるようになります」と言われたこと、「メディアとは」などいろいろなことを学び、たくさんの方々をお会いし、貴重な体験をすることができました。
 これだけで十分ですよね。
報酬はなくとも、楽しい仕事をこれからも心掛けていきたい。
 
関係者のみなさま、本当にありがとうございました!