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戸建地下に下水道管が通過している2世帯住宅を売却したい!(横浜市鶴見区)

ご相談者:H.Y 様(ファイナンシャルプランナーの方からのご紹介)
神奈川県横浜市

 将来、高齢者施設への入所も考え、体が動く今のうちに長年住んできた
この家(2世帯住宅)を売却し、一度賃貸住宅へ住替えたい。
 ただ、自宅の地下には下水道管が通っており、建物は老朽化して
しまっております。
 何とか良い買主様をお探ししていただけないでしょうか。

状況

地下に下水道管が通過している2世帯住宅を売却したい!(横浜市鶴見区) 状況
【所在】神奈川県横浜市鶴見区獅子ヶ谷1丁目
・駅からバス便のエリア
・建物は築25年以上経過しており、老朽化が目立つ
・物件の地下を下水道管が通過
・物件の目の前がバス通りとなっており、車が通ると
 揺れる
・建物は完全分離の2世帯住宅で間取りが特殊
・境界標が一部不明
・敷地の一部が道路として使用されている
・相続登記が未了

解決策

1. お客様との面談

 今回のお客様はいつもお世話になっている独立系ファイナンシャル
プランナーの方からのご紹介でした。
 お客様をご紹介いただいた後、すぐにご連絡をし、面談に伺いました。
 お客様のご要望は、「老後動けなくなってしまうまえに資金化して
おきたい」という内容のものでした。
 面談の際に物件の現地確認を行ったところ、境界標の一部が不明であること、
建物が2世帯住宅(間取りが特殊)、前面道路の交通量が多く、大型車両が通行
する度に揺れること、物件の下を下水道管が通過していることが判明しました。
 実際にお客様との面談時には、大型車両が前を通る度に地震かと思うくらいの
揺れが何度もありました。

2. 物件調査の実施

 お客様との面談後に市役所等にて物件調査を実施しました。
 その際にお客様は過去に物件を相続にて取得されておりましたが、
その相続登記が未了の状態でした。
 そのため、お客様と打ち合わせをし、司法書士の先生に依頼し、
相続登記を行っていただきました。
 また、土地の地下を下水道管が通過していることにつき、
横浜市を権利者とする地上権が設定されていました。
 この地上権があることによる建物の建築制限も事前に入念に
調査をしました。
 同時に物件の土地の一部が道路として使用されていることに
ついても監督官庁にて念入りに調査しました。

3. 媒介契約の締結と販売活動の開始

 調査後、調査結果をまとめ売主様と打ち合わせをし、
急いで売却しなくても良いということから当初はチャレンジ価格にて
販売を開始しました。(媒介契約を締結しました)
 建物が老朽化しているため、リフォーム費用についてのお問い合わせが
あった場合に備え、予めリフォームの見積もりも取得しておきました。
 ただ、販売開始後、前面道路の交通量及び振動、間取りが特殊という
点からもなかなか具体的なお話をいただくことができませんでした。
 境界標が一部不明なことについては、測量費用が高額となるため、
買主様が見つかってから測量作業に入る形式をとりました。

4. 買主様との諸条件の擦り合わせ、税金確認と売買契約

 販売活動を開始してから、毎週のエンドユーザー及び不動産会社の
アクセス数を詳細に分析し、徐々に販売価格を変更していきました。
 そして、最終的に当初見込んだ査定金額よりも高い金額提示を
していただいた買主様をお探しすることができました。
 ただ、完全分離の2世帯住宅の場合は、売却時の税金にも注意する
必要があります。
 そのため、税理士の先生にお願いをし、売却金額で売却していただいた
際の譲渡所得税を予め書類でご用意いただき、お客様にお渡ししました。
 そして、買主様と契約金額、引渡し、その他の条件についての詳細を
協議し、協議が整った段階でご契約を締結していただきました。

5. 測量作業と越境物

 ご契約締結後は、当初の予定の通り、測量作業を開始しました。
当初は一部境界標が不明だったのですが、測量した結果、隣地の
構造物が物件に越境していることが判明。
 土地家屋調査士の先生と売主様、買主様を巻き込み協議を
した結果、一部は撤去していただくこと、一部は隣地が建物建て替え時に
是正するという内容の書面を締結することで合意しました。
 最終的には無事に越境物の一部撤去及び合意書の締結の双方の
条件を成就させることができました。

6. 残置物の撤去・引渡し前の現地確認とお引渡し

 測量作業も完了し、いざ、お引越しという段階で
物件に残置物が多数残ってしまうということが判明。
 そのため、売主様に残置物撤去業者をご紹介し、
引っ越し業者でも合い見積もりをとっていただくよう
お願いをしました。
 結果、安い方で残置物の撤去を行い、売主様自身の
お引越しも終えることができました。
 そして、お引渡し前に売主様、買主様と一緒に現地に
集合し、残置物がないこと、境界標の確認を行いました。

7. 残代金・お引渡し

 お引渡し前の事前確認も終え、残代金・お引渡しを行いました。
 残代金時には売主様より買主様に測量図面一式・鍵一式・建物の設計図書
一式と所有権が引渡され、買主様より売主様に残代金と固定資産税がお支払い
されました。
 売主様は買主様より受領された残代金より測量費用をお支払いされ、
全てを無事に終えることができました。

担当者からの一言

 今回の案件のポイントは、「2世帯住宅売却の難しさ」です。
 2世帯住宅は、当初は良くても、一般的に間取りが特殊なことが多く、
中古市場では万人受けしません。(売りづらい物件となってしまいます)
 理由は、売主様家族に適合するためにつくられており、
他の方の条件にはなかなか合わないことが多いからです。
 また、2世帯住宅は融資を借りる子供世帯と親世帯の2世帯で
購入することが多く、その場合には皆さんの意見が合わないことが
多いのです。(お話がまとまらないことが多々あります)

 そのため、当初、多額の資金を投下して2世帯住宅を建築しても
何らかの事情で中古住宅として売却をしようとしたときに2世帯住宅の
需要が少ないことからも建物の築年数の価値の減価以上に間取りについての
需要の少なさがネックとなり、大幅に価値が目減りしてしまいます。
 
 私が言いたいことは2世帯住宅を建てるなと言うわけではありません。
2世帯住宅を建てる場合には、将来的に売却する場合にうまく間取りを
コンバージョンできるように最初から考えておくことが重要となります。
 ちょっとの工夫で大きく資産価値を上げることができます。 
 例えば、それぞれの世帯が分離しているところを行き来できるように
壁をとれるようにしておいたり、間取りをアパートに変更できるように
設計しておいたり、など数え上げればきりがありません。
 大切ですね、ちょっとの工夫。

 関係者のみなさま、本当にありがとうございました。